北野武は、撮影現場には、台本は持って来るなというのだそうだ。セリフも覚えてくる必要はないといい、こうしろ、ああしろとは一切言わないというのだ。セリフがどんどん撮影の段階で変化していく、というから俳優も大変だ。
岸本加世子は、何としても北野映画に出たくて、オーディションがあるというので受けたが、ほとんど何も聞かれず、演技の試験もなく受かったという。受かって、打ち合わせに行くと「どの役がいいですか」と聞かれたというのもすごい。
映画で、岸本加世子が泣くシーンがあったが、涙が出ないところで、撮影が止まってしまい、目薬でそれらしくすることもできると思うが、岸本は本物の涙にこだわった。どうしたかというと、そこを抜け出して、助監督のところに飛んでいき、履いていたヒールを脱いで、自分をヒールでたたいてくれと頼み、たたかれた痛さで、涙が出たので、そのまま、カメラの前に走って行ったというのだ(笑)。
北野監督と完全主義者の黒澤監督では撮影方法はまるで異なるようだが、あの天下の黒澤明監督が、北野作品について開口一番(Part1)で「(北野)作品はどれも好きですよ。余計な説明がないのがいい」と高く評価しているのが興味深かった。多くの映画では、説明が多すぎる、という。
北野作品は時々難解な作品もあるが(笑)、最近の映画「アウトレイジ」などでは、コノヤロー、バカヤローといった罵倒シーンが多いが、わかりやすい。あのようなセリフも、俳優のいいたいように言わせているようだが、リアルで、迫力がある。
北野監督は、助監督が何人もつくことがあるが、自分は素人という意識があるので「ああしろ、こうしろ」というのは言えないのだとか。俳優のやりたいようにやらせるというスタンスだ。
黒澤監督は、映画のことを「写真」という言い方をする。
画家を目指したほどの監督で、絵コンテも自分で描くが、画面が「絵になる」かどうかの構図を常に頭に描いているのだろう。
完璧主義者で、とっつきにくい気難しいイメージのある監督だが、晩年の対談で、好々爺といった印象だ。
時間のある人は、こちらも。
対談Part1はこちら:http://youtu.be/2oNbDojXLb0
対談Part3はこちら:http://youtu.be/7j0cLCXMpN8
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