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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「国境は燃えている」(1965)


「国境は燃えている」
 
 1970年代の映画はリアルタイムで劇場でかなり見ているほうだと思うが、1960年代の映画は、ほとんどがTVの洋画劇場中心だった。
 
この「国境は燃えている」(原題:Le soldatesse 兵士、1965、公開1966)は、見逃していた作品。日本国内では、DVDも制作されていないようで、このレアな映画を見ることができたのは、GH字幕さんのおかげ。ありがとうございます。(GH字幕さんの私家版ということで、GH字幕さんの字幕による。もちろん非売品だ)。哀愁が漂い、地味だが、登場人物のアップのシーンが多く、見所ある映画だった。
 
ギリシャが舞台。従軍慰安婦を扱っている。当時ギリシャでは、売春が合法化していたという。この映画では、戦地に慰安婦を送り込む仕事もあったのだ。その役を引き受けるのが歩兵中尉・マルチーノで、これを演じているのが、マカロニ・ウエスタンで人気を得る前のトーマス・ミリアン
 
T.ミリアンは、キューバの首都ハバナでイタリア移民の子として生まれたが、少年時代に一家でニューヨークに移り住み、演劇に取りつかれた。有名なアクターズ・スタジオで、リー・ストラースバーグの下で2年間演技を学び、1959年に「狂った夜」の端役でデビュー。製作者のフランコ・クリスタルディに認められて、クリスタルディ製作の映画に多く出演した。
 
慰安婦を演じている女優は、レア・マッサリ(「情事」「好奇心」「高校教師」)、「太陽がいっぱい」のマリー・ラフォレジャン=リュック・ゴダール監督作品の常連だったアンナ・カリーナ(「女と男のいる舗道」)、ヴァレリア・モリコーニ(「男の世界」)など魅力的な60年代の女優が出演。モノクロ映画だが、音楽がイタリア、ギリシャを思させる雰囲気でいい。
 

     
ストーリーは反戦映画で、食糧事情が厳しく、「私は死ぬのよ。パンが食べたい」という言葉は切実だ。銃殺が描かれたり、戦争の残した傷跡も描かれ、淡々と描かれるが、じわりじわりとくる映画。ただ、ところどころにユーモアもある。
 
エべ(ヴァレリア・モリコーニ)が、手洗いで洗濯をしていると、兵士が「ネエちゃん、俺のシャツも洗ってくれ」と言われたエベは、そんなことまでできるかというポーズで、その字幕が「アホー!」。これは、関西人のGH字幕さんの魂胆に違いない(笑)。また売春婦のセリフだが、兵士に向かって「あんただって、XXXX好きなんでしょ」と放送禁止用語の字幕も字幕さんがさりげなく使っているが、戸田奈津子では、間違っても出てこない字幕だ。
 
           トーマス・ミリアンとマリー・ラフォレ
 
ここからGooよりストーリー(概略)を引用。
第二次大戦下の1940年、ギリシャ全土は山岳地帯にたてこもった一部のゲリラを除いて独伊両軍の占領下におかれた。休暇でアテネにいた歩兵中尉マルチーノ(トーマス・ミリアン)は12名の慰安婦をいくつかの部隊に運ぶという任務をうけた。
 
アテネを発とうとするトラックに向って、慰安婦の一人トウーラ(レア・マッサリ)の妹が、一人置き去りにされるのが不安だといって駆けよった。女達のこん願に負け、マルチーノは同行を黙認した。
 
さらに途中で奥地に行くという黒シャツ隊の少佐を同乗させた。マルチーノはエフティキア(マリー・ラフォレ)という、無口な女に心を惹かれはじめていた。駐在所につくたびに、獣じみた夜を見なければならない。
 
奥地に入るにしたがって、ギリシャ人のパルチザンが出現する危険な道を通らなければならなかった。そしてある日、いきなりパルチザンの銃撃にあった。女の一人エレニツァが胸に銃弾をうけ、一行はやっとの思いでレンガ造りの荒屋に逃げこんだ。
 
もう一度襲われたら皆殺しだ。逃げなければならない。が、エレニツァは重体。不安な時間に極度に興奮した少佐はエレニツァを射殺した。エフティキアが怒って彼に銃を向けたが、マルチーノがとめた。少佐は「皆のためにやったんだ」と弱々しく弁解した。一行は徒歩で目的地オクリダに着いた。
 
そこでは黒シャツ隊がゲリラ追放のために町に火を放ち少年までをも無造作に銃殺していた。少年の同胞エフティキアはその光景を見て初めて涙を流した。マルチーノは狂おしいほど彼女を愛していたが、両国の溝の中でどうすることも出来なかった。その日、二人は最後の夜を送った。彼女は翌日パルチザンの仲間に加わるために山に登り、マルチーノはそれ以後、二度と彼女に会うことはなかった。
 
この映画については、GH字幕さんが、詳しく解説しているので省きます。
 
 
1960年代のヨーロッパ映画は、雰囲気があっていい。
 確かに「パリは燃えているか」などのタイトルと紛らわしい。
 
 
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