「ファニー・ガール」(1968年制作、1969年2月公開)は、1920年代のジークフェルドのショウの大看板だったファニー・ブライスの伝記ミュージカルの映画化。舞台で主役を演じたバーブラ・ストライサンドが圧倒的な演技と歌唱力を見せた。ミュージカル・ファンには楽しめる。(きょうBS11で放送あり、観賞)
バーブラ・ストライサンドは「ファニー・ガール」で1968年度アカデミー賞主演女優賞を獲得した。この年は、キャサリン・へプバーンの「冬のライオン」も主演女優賞で、アカデミー賞の歴史上初めて、2人の女優が、同時に主演女優賞を獲得する事態となった。
物語は、ファニー・プライスの回想で始まる。
ファニーは、ショー・ビジネスを目指して、オーディションに向かうが、おばさんは「美人でなければ成功しない」と占うが・・・。
ファニーは持前の勝気と、押しの強さで、舞台演出家、ジークフェルド氏の舞台に立つようになる。その手引きをしてくれたのは、有名なギャンブラーのニック(オマー・シャリフ)だった。ファニーは、二ックに恋するようになるが、放蕩ぐせの抜けない二ックが再びファニーの前に現れたのは一年後のボルチモアでだった。
二ックは、競馬で持ち馬を出走させて儲けたら、ファニーに求婚するつもりでいたが大損し、面目ないのでこれから豪華客船に乗り込みポーカーで一稼ぎするつもり、と告げて立ち去るのだった・・・。
バーブラ・ストライサンドのための映画だった。
40年前に、バーブラの作品は、数本見ていたが、コミカルな映画(「おかしなおかしな大追跡」など)や「追憶」「晴れた日に永遠が見える」などはよかったが、美人という印象ではなかった。ところが、見たつもりでいた「ファニー・ガール」は未見で、「ハロー・ドーリー」と勘違いしていたようだ。「ファニー・ガール」のバーブラは、キュートで可愛い。目がブルーで、いかにこの映画でバーブラをきれいに撮るかといった演出のようにも見える。
「アラビアのロレンス」で男らしい面構えのオマー・シャリフは、この映画では、競走馬の馬主であり、恋人よりも「ポーカー」で稼ぐ方を優先するという、生粋のギャンブラー。そんなギャンブラーも、詐欺にあい、刑務所に入ってしまう。出獄してきても、
ファニーと二ックは再会するものの、それぞれの道を進むことを決意し別れることになる。
映画のストーリーは、いまいちで、バーブラの熱唱はみごたえがあるが、とくに名曲といわれる“ピープル”がすばらしい。
ミュージカル・ナンバーは、「女の子が美しくなければ」「私は大スターよ」「ローラ・スケート・ラグ」「ブルーなわたし」「セコハン・ローズ」「彼の愛がわたしを美しくする」「ピープル」「きみは女だ」「パレードに雨を降らせないで」「セイディー・セイディー」「白鳥」「ファニー・ガール」「マイ・マン」など。
☆☆☆