この記事を書いているところに「ゴールデングローブ(GG)賞」で、作品賞、監督賞など4部門を独占した、とのニュースが飛び込んできた。ふむふむ、アカデミー賞はどうか。GG賞とアカデミー賞は連動しないケースが多いが・・・。
大傑作かと言われると、「暴風雨」がやってきて、さっと引いていった感じで、考える隙もないような映画だった(笑)。
この映画の主人公、マーク・ザッカーバーグは、「第2のビル・ゲイツ」(マイクロソフト会長、映画にも役柄で登場)ともてはやされているようだ。現在、26歳で、世界の長者番付の32位(資産69億ドル=単純に6,000億円)。億万長者(ビリオネア:10億ドル以上)では最年少。
主人公に共感は出来ないが、「成功者」に対して、モノ申しても迫力に欠けるというもの(笑)。Facebook(フェイスブック)は、SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)では最大規模で、2011年1月現在、ユーザー数は世界で5億人。
さて、この映画。主人公の機関銃のようなスピードの話し方と同様に、スピーディに話が展開していく。名門ハーバード大学の学生2人で、「フェイスブック」を始めるが、2人は、激しく対立する局面を迎えることになる・・・。
全編に、低く流れる音楽がいい。
何かが起こりそうな予感。ホラーのような・・・。
かと思うと、パーティなどでは、胸にズシン・ズシンと突き刺さるような大音響の音楽もインパクトがある。
アメリカ映画のすごいところは、現存する人物であろうが誰であろうが、すぐに映画化してしまうところ。20代半ばで巨万の富を築いた若者を、時間を置かずに描いてしまう。日本では、なかなかあり得ない。
映画ではITがらみの専門の言葉がポンポンと飛び出す。「CFO」だの「VC」だの「株式の希薄化」だの「IPO」だの「ナップスター」だの・・・。これらについて多少は知っていないと、素通りしてしまうことになりそう。ちなみに「CFO:Chief Financial Officer:財務最高責任者」「VC:ベンチャー・キャピタル:ベンチャー企業に投資する投資会社」「IPO:Initial Public Offering:株式上場」・・・。
「Facebook」の語源って何?と思ったら、女子大生の顔(ルックス)写真を比較して、ランク付けするというサイトを始めたことによる。
マーク・ザッカーバーグは、頭は優秀らしい。なんでも100点満点のようだが、友人は2,3人しかおらず、典型的なオタク。
面白味もなく、自信家で、女性からも愛想をつかされる。言ってみれば、それを見返すためにはじめたのが「フェイスブック」だった。
「フェイスブックはクールでなければならない」とマークは言う。だんだんとこの意味するところがわかってくる。お金儲けのために、ある意味では当然のことだが、収入源のために「広告」をとる行動に出るのが、パートナーで親友のエドゥアルド。エドゥアルドは、広告交渉にはいずりまわる。
ハーバード大学の学生兄弟の二人は、マークが自分たちの開発したプログラムを盗作したとして、理事会に訴えるが、取り合ってもらえなかったようで、学長にコネを使って面談にこぎ着く。学長は話だけは聞いたが、次元が違うと取り合わず、学生が数字のことを取り出すと「私は、元・財務長官だ」というところが、格の違いを見せつける(爆)。
「フェイスブック」はクールで行くというのは、広告など目先の利益だけを追求して、「パイ」を小さくするなという意味で、「小さな魚を10匹取って満足するか、大きな魚1匹をとるか」といった意味の言葉が印象的だった。これを聞いたマークは、クールで行くことを貫こうとする。
アメリカの若者の単なるサクセス・ストーリーではなく、青春映画と言えなくもない。
テーマは、SNSと、今が旬の題材。もういちど見るか、DVDを購入することになるだろう。
キャスト
- マーク・ザッカーバーグ: ジェシー・アイゼンバーグ
- エドゥアルド・サベリン: アンドリュー・ガーフィールド
- ショーン・パーカー: ジャスティン・ティンバーレイク
- クリスティ・リー: ブレンダ・ソング
- マリリン・デプリー: ラシダ・ジョーンズ
- ダスティン・モスコビッツ: ジョゼフ・マゼロ
- ディヴィヤ・ナレンドラ: マックス・ミンゲラ
- エリカ・オルブライト: ルーニー・マーラ
- キャメロン・ウィンクルボス、タイラー・ウィンクルボス: アーミー・ハマー
- タイラー・ウィンクルボス(ボディダブル): ジョシュ・ペンス
- ローレンス・サマーズ学長: ダグラス・アーバンスキ
- レスリー・ブラウン: ダコタ・ジョンソン
- ジョシュ・トンプソン: トレヴァー・ライト
- ピーター・シール: ウォレス・ランガム
デビッド・フィンチャ-監督の主な作品:
『ゲーム』 The Game(1997年) ★★
『ゾディアック』 Zodiac(2007年) ☆☆☆
『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』 The Curious Case of Benjamin Button(2008年)
☆☆☆
※主人公、ザッカーバーグを演じたジェシー・アイゼンバーグは、当の本人ザッカー・バーグから「うまく演じていた」と言われたと、日本にPRに来た時に語っていた。脚本家も同席していたが、アメリカでは、実話を映画化する場合に、決して本人を中傷したり、傷つけたりはしないという基本があり、当然それを貫いたという。
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