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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「ノルウェイの森」(2010)


      映画「ノルウェイの森」予告編
 
 
ノルウェイの森」を見てきた。原作は、1987年に発刊された村上春樹のあまりにも有名な小説。80年代後半に原作を読んだが、時代背景が1969年ごろということで、
70年安保闘争などの学生運動の真っ最中の時代が背景。そんな中で、主人公のワタナベ(村上春樹自身を投影している部分も多いと思われる)と、ワタナベに関わる女性たち、友人たちとの交流、生と死、恋愛、生き方などを描いていた。
 
映像的には、すばらしさを感じる。
動きながらの会話が多く、主人公ワタナベと直子が常に行ったり来たり動いている場面が多く、カメラもそれにあわせて動く。二人の心理状態が、落ち着かず不安定な様子を表しているかのように・・・。
 
風景は美しかった。
 
海外でも数十カ国で公開されるというが、果たして・・・。
原作の人気が海外で高く、関心はありそうだが、ヒットするかは、わからない。
評価は割れるかも。
 
映画は、監督のトラン・アン・ユンによると、原作のイメージを壊さないようにできるだけ忠実に再現したという。原作も映画も、すっきりとした答えも出ていないし、曖昧なところも多い。自分が好きだった女性が亡くなって、慟哭するシーンがあり、そうした悲しみは、なにものを持っても代えられないというのもテーマの一つだったようだ。主人公とほぼ同世代の人間としては、ワタナベに共感できる部分も多い。
 
ワタナベという人物は、根が優しい性格であるため、亡くなった親友の恋人だった直子や、緑から何か言われた場合に、必ず「もちろん」という言葉を連発する。
 
あるとき、直子から「その、もちろん、て言うのをやめてくれる」と言われる。一応、わかったといい、直子の前では、使わなくなる。が、緑と会うときには、「もちろん」を何回も話していた(笑)。(蛇足:「もちろん」という口癖は、なんの気なしにfpdも使っていて、「もちろん」というのをやめてくれる、といつも言われている。爆)「もちろん」というのは、ひとによっては、気に障る言葉らしい(笑)。
 
おっと、脱線。
 
この映画は一言で、「傑作」「愚作」といった感想は書きにくい。
 ただ、主人公のワタナベを演じている松山ケンイチは、この作品が代表作になるだろう。
 
ほとんど、目の動きだけで演技している。観客も、知らず知らずワタナベの目線で、物を見ているような錯覚を覚える。ワタナベと友人キズキ(高良健吾)、その恋人の直子(菊池凛子)の三人は、いつも行動を共にしていた。直子とキズキは、3歳からの幼友達という特別な間柄だったが、キズキが自殺を図ったことで、バランスが崩れることになる。
 
しばらくぶりで、ワタナベと直子が再会し、深くかかわっていくことになる・・・。直子は、精神的な病で療養所生活を送ることになる。そんな時、大学で顔見知りの緑と出会う。緑は、別のボーイフレンドがいたので、ワタナベとは、一定の距離を置いていたが・・・。「私が今、何をしたがっているかわかる?」と何回か、別なシーンで語るところがある。最初の時は、緑が、こうしてああして・・・と説明していたが、次の時に
同じ質問をしたときに、ワタナベの答えが違っていたらしく、席を立ってしまった。
 
緑役の水原希子という女優は、映画初出演ということだが、ストレートなものいいとか、カンの鋭さなど持った現代的な性格で、たとえ話、妄想などを含めてうまく演じていた。これまで、失恋の痛みなどを味わってきたので、「幸せになりたい」と、ワタナベが、真剣なら交際をと考えている。
 
直子を失ったワタナベに、緑から電話がある。
ワタナベは直子と住むはずだった引っ越したばかりのアパートで電話で話す。
「いまどこにいる?」と緑。
 
考え込むワタナベの返事は「・・・・・・・・・・・」(←これがこの映画のテーマだろう!)
 
で、END。
 
音楽は、ビートルズの「ノルウェイの森」などが流れる。
映画とノルウェイの国とはなんの関係もない。単に「ビートルズの曲」をタイトルに
しただけだ(笑)。
 
松山ケンイチは、これまで演じてきた役柄は、どちらかと言えば、「非凡な」性格の役が多かった(「「デスノート」シリーズ、「デトロイト・メタル・シティ」、「カムイ外伝」「ウルトラミラクルラブストーリー」など)が、今回のワタナベ役は、ごく普通人で、それだけ俳優としての力が試されると思うが、うまく演じていた。若手俳優の代表格と評されているのがうなづける。
 
菊池凛子は、原作の大ファンということで、自分で監督に役を売り込んだというが、監督は即決したらしい。ただ、菊池は29歳で、映画の直子は20歳。やや無理があるかと思った。アカデミー賞にノミネート(「バベル」)された実績があるといっても・・・。それに、美人とは言い難く(ミスキャストとは言わないが、あまり、ルックスで好きになれないタイプの女優だ。別な女優が良かった。爆)
 
女性陣では、レイコ役の霧島れいかは、大人を感じさせる女性。
直子の療養所で、音楽を教えているが、わけありのようで、直子が亡くなった後、ワタナベを訪ね、直子が生活するはずだったアパートを確認。8年前になにか大きな心の傷を受けることがあったようで、「必然性がある」とかいって一度限りのワタナベと関係を持つことで、何かが吹っ切れて、さっぱりとし、平常心を取り戻す。
 
玉山鉄二は、ワタナベの先輩役。東大出身のエリートで、外務省に決まり、海外転勤となる。プレイボーイで、結婚する気はさらさらない様子で、マイペース。カメラは玉鉄の尻ばかり映しているようで、目ざわりだが・・・爆。
 
全体的に、過激な言葉や描写が多く、「うーん」というシーンもある。
 

                          印象的なシーン: ワタナベ、永沢、ハツミの会食シーン
 
印象的なシーンは、初音映莉子演じるハツミとその恋人の永沢とワタナベがレストランで食事をするシーン。ハツミがワタナベに、ある一件で、本音を問いただすシーン。真剣なハツミの表情がかなりすごい!
 
女優陣は、直子、緑、レイコ、ハツミと、個性的で印象に残る女優ばかり。
今後が楽しみ。
 
 
出演:
ワタナベ - 松山ケンイチ
直子 - 菊地凛子
小林緑 - 水原希子
キズキ - 高良健吾
永沢 - 玉山鉄二
レイコ - 霧島れいか
突撃隊 - 柄本時生
ハツミ - 初音映莉子
大学教授 - 糸井重里
阿美寮門番 - 高橋幸宏
 
監督・脚本 - トラン・アン・ユン
 
☆☆☆
 
 
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