「テイキング・チャンス(仮題)」(原題:Taking Chance, 2009,日本未公開)は、戦争シーンは出てこないが、静かな感動がじわじわと迫る映画だ。
イラクで19歳で死亡した海兵隊員、チャンス・フェルプスの遺体を上官であったマイケル・ストロブル(ケヴィン・ベーコン)が、チャンスの国に対する無私の奉仕やその人柄に感銘を受け、その遺体を故郷のワイオミングまで搬送する実話ベースの物語である。「テイキング・チャンス」では、その行程がドキュメンタリー・タッチで構築されている。
一人の若い海兵隊の死に対して、厳粛に、また直接かかわりのない多くの人たちまでもが追悼を捧げる姿が胸を打つ。マイケル自身は、チャンスの人となりは直接は知らなかったが、友人らの話から、以前から知っているような感慨を覚え、家族と同じような気持ちを共有していく。
ケヴィン・ベーコンが、静かな演技ですばらしい。
なお、この映画は日本未公開だが、ブログ友のguchさんが、DVDを送ってくれ、「推薦状はなかった(爆)」がおすすめということで見た。時計などの遺留品もきれいに磨き、棺の中では、チャンスに海軍の制服を着せて、まるで「おくりびと」でみたように、おごそかに整い納めていたのが印象的だった。
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