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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「新しい人生のはじめかた」(2008、日本公開2010)


              映画「新しい人生のはじめかた」予告編
 
新しい人生のはじめかた」(2010)は、ハートフルな物語だ。
原題は、Last Chance Harvey。
 
ニューヨーク在住のCM作曲家ハーヴェイ(ダスティン・ホフマン)は、一人娘スーザンの結婚式に出席するためロンドンへ向かう。離婚以来久々に家族が揃うのを期待していたが、花嫁の父の役割はすでに元妻の再婚相手に委ねられていた。
 
追い討ちをかけるようにNYの上司からはクビを宣告する電話。
所在なく落ち込むハーヴェイは、空港のバーで白ワイン片手にひっそりと読書をするケイト(エマ・トンプソン)と知りあう。
孤独を抱えた2人はいつしか会話を弾ませるのだった。
 
名優ダスティン・ホフマンエマ・トンプソンが演じるハーヴェイとケイトは出会ったばかりの他人同士。しかも、初対面の印象は最悪だ。それでも、一旦、言葉を交わせば会話は尽きることなく楽しい時間が過ぎてゆく。
 

これぞ一生に一度あるかないかの運命の出会いか。もちろん、なんの確証もない。
 
これまでに充分過ぎるほど落胆と悔恨を繰り返し、夢よりも諦めを口にしてしまう大人の男女の心の機微を繊細さとユーモアを交えて描いたのは、イギリスの新鋭監督ジョエル・ホプキンス
 
ホフマン演じるハーベイは、離婚したために娘の結婚式に出ても、バージンロードを歩くのは元妻の再婚相手が務めるというさびしさや、仕事でも自分の立ち位置がなくなってくる厳しい現実などに直面して、落ち込んでいたときに、飛行機の機内で隣り合わせたケイトと偶然ロンドン市内で出会い、新たな人生に向けて走り出す姿を描く。
 
二人とも若くはなく、ケイトも「性格が合わなくて、別れるなどの哀しみはもう味わいたくない」と現在の老いた母との気楽な暮らしを続けたいと願うが、ハーベイのひたむきさに心が揺れ、ロンドンで新しい人生を共に歩く決意をする。
 
ケイトの傷つきたくないという不安な気持ち、ハーベイの「努力する」という真摯な気持ちは、良く理解できる。
 

 
まだ知りあって間もないが、ハーベイが、ケイトの定例の作家の講義に参加する間、待っているというと「(待ってくれるなんて)私、喜んじゃいそう」といったセリフがいい。
 
ハーベイは、これまでの人生は必ずしもハッピーというわけではなく、ケイトとの人生が「(幸せの)ラスト・チャンス」(オリジナルタイトル:Last Chance Harvey)というわけだ。
 
ダスティン・ホフマン(1937年生まれ)とエマ・トンプソン(1959年生まれ)という2大ベテラン俳優による大人のラブストーリーだが、会話などがしゃれていて引き込まれる。
 
ダスティン・ホフマンは「クレーマー、クレーマー」でアカデミー賞主演男優賞エマ・トンプソンは「ハワーズ・エンド」で主演女優賞を受賞した演技派。
 
エマ・トンプソンの作品では「パーフェクト・カップル」の大統領夫人役、「主人公は僕だった」の小説家役が印象に残る。
 
 
☆☆☆
 
 
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