fpdの映画スクラップ貼

「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

<span itemprop="headline">映画「しあわせの隠れ場所」(2010)</span>

 
「しあわせの隠れ場所」(原題:The Blind Side)は、日本公開は、今年2月。
 
アカデミー賞で、サンドラ・ブロックが主演女優賞を獲得したということ以外は、あえて予備知識なしで見た。
 
夫と子供たちと裕福に暮らすアン・リーサンドラ・ブロック)は、寒い真冬の夜、Tシャツ一枚で街を歩く黒人の少年、マイケル(愛称は、ビッグ・マイク)と出会う。アンは身寄りのないマイケルを憐れに思い家族として迎えるが、家や豊かな食事に感謝するマイケルから、幸せとは何かを教えられていく。
 
やがて、マイケルはアメリカン・フットボールの選手として頭角を表すようになり・・・(HPより)。
 

実話ということだが、何不自由のない上流家庭の一家が、貧困で、親とも小さいころに別れたきりの黒人の若い青年マイケルを、自宅に住まわせることになり、最初は、ものが盗まれたりするのではと心配していたが、黒人街の麻薬などの悪環境に育ちながらも、まっすぐに育ってきた実直なマイケルをアメフト選手に、また大学まで行かせようと尽力する一家の物語である。
 
成績が十分でなく、志望する大学は難しいとみられたが、物を書く才能や、保護本能の優れた点などがあって、この才能が生かされていく。
 
「スピード」の印象が強いサンドラ・ブロックであり、その後は「インターネット」「クラッシュ」などで顔を見たが、この「しあわせの隠れ場所」では、パワフルで、堂々としている。
 
世間の偏見の目などは気にも留めずに、マイケルの後見人を引き受け、全面的にバックアップすることになる。アンの女友達は、よりによって黒人の青年を自宅に住まわせるなど考えられないというような好奇な目で見るが、そんな世間体は一蹴して、逆にそうした見方しかできない友人を情けないと思う。
 
この背景には、自分たちは恵まれているが、この青年は、今日までベッドに寝たこともなく、家族などの暖かさを味わっていないこと、本も読んでもらったこともないといった事実に衝撃を受けたことなどがあった。この一家では、当たり前のことが、そうでない人間もいるということを知ったようだ。夫婦も円満で、二人の子供もしっかりしていて、理想的な一家だが・・・。
 
SJという子役の男のこどもを演じる俳優もうまい。アメリカでは、珍しいような、一家円満な家庭で、黒人を引き取ったことで、女子高に通う子も、母から「いじめはないか」と聞かれても、「気にしない」という。
 
マイケルが家を出てしまった後、マイケルが生まれ育ったハーレムのような貧民街を捜し歩くアン。アンに対して、まわりの黒人の若者たちは、からかい半分の言葉を浴びせるが、それに動じることなく「私はアメリカライフル協会の会員よ」とアンは反論。
 
「サタディナイト・スペシャルかなんかのしょぼい銃だろう」と返すチンピラ。「使い心地には関係ない」と切り返すアンは、動じない。(サタディナイト・スペシャル=低品質だが安価に入手可能な小型拳銃に対する俗称)
 
この一家は夫婦ともにミシシッピー大学の卒業。
 

マイケルのアメフトのスポーツ能力を買って、複数の大学から、スカウトに訪問してきて、最終的にミシシッピー大に行くことになる。
 
これが、調査官から、大学に入れたくて、意図的に身元引受人になったのではという疑いをかけられる。
 
 
ミシシッピー大でなくても「自分の人生は自分で決めて」というアン。
 
調査官に、マイケルは「なぜ、ミシシッピー大学を志望したか聞かないね。家族がみなミシシッピー大卒だからだ」と気丈に答えるのだった。
 
2009年にボルチモア・イレブンスに入団したマイケル・オアー選手の実話に基づいたノンフィクション小説を映画化。天涯孤独の少年、マイケルはアンとの偶然の出会いから、リー一家に迎えられ、やがてアメフト選手として認められる。
 
しかし、プロ選手としてスカウトされた時、母親同然に慕ってきたアンに、疑いの感情を持つように・・・。家族とは何か、真の幸せとは何かを問いかけてくる映画だ。
 
マイケルを演じるのは本作が初のメジャー作品となるクイント・アーロン。
 
感動的で、味わい深い映画だった。
 
サンドラ・ブロックを完全に見直した!
「スピード」のおキャンギャルのイメージはそこにはなく、堂々とした、アカデミー賞女優の風格がありました)
 
後半になって登場するキャッシー・ベイツ(「ミザリー」「アバウト・シュミット」)は、貫禄たっぷりですね。
 
☆☆☆☆