「ドリーマーズ」(原題:The Dreamers)は、イタリアの鬼才、ベルナルド・ベルトルッチ監督の2003年の作品で、日本公開は2004年7月。ベルトルッチ監督といえば、1972年に「ラスト・タンゴ・イン・パリ」で、強烈な印象を残し、「暗殺の森」「ラスト・エンペラー」などの傑作がある。製作は、英・仏・イタリア合作。
「ドリーマーズ」は、1968年当時の激動の時代(政治運動や反戦運動など)を背景に、一卵性双生児の姉弟兄弟と、米国の若者との三人による映画ゲームから次第に性的なゲームへと変化するさまと、60年代の映画の新しいうねりであるヌーベルバーグへのオマージュがささげられて、監督の衰えぬ感性が浮き彫りにされている。大胆な描写がふくまれていることで、日本では「R-18」(海外はR-15)となっている。
出演はマイケル・ピット(マシュー)、エヴァ・グリーン(イザベル)、ルイ・ガレル(テオ)、ロバン・ヌルーチ(イザベルとテオの父親)、アンナ・チャンセラー(イザベルとテオの母親)、ジャン=ピエール・カルフォン、ジャン=ピエール・レオなど。
映画の中に登場する映画ゲームでは、ヒントから、映画名を当てるというもの。
主に1930年代の映画が話題となっていた。
また、映画の同好会(シネマテーク)が、秘密結社めいていたことから、国から弾圧される姿も描かれていた。マシューとテオの映画に関する見方で大きく食い違っていたのは、チャップリンとキートンがどちらが笑わせるか、偉大だったかが、まったく反対の立場を示して双方譲らずというのがおかしかった。またチャップリンの「街の灯」のラストシーンの話題など、映画ファンには、関心の高いテーマが随所に見られて面白い。
ベルトルッチ監督の主な作品:
殺し La Commare secca (1962年)
革命前夜 Prima della rivoluzione (1964年)
暗殺のオペラ Strategia del ragno (1970年) ☆☆☆
暗殺の森 Il Conformista (1970年)☆☆☆☆
ラストタンゴ・イン・パリ Ultimo tango a Parigi (1972年)☆☆☆☆
1900年 1900 (1976年)☆☆☆
ルナ Luna (1979年)
ある愚か者の悲劇 La Tragedia di un uomo ridicolo (1981年)
ラスト・エンペラー The Last Emperor (1987年)☆☆☆
シェルタリング・スカイ The Sheltering Sky (1990年)★★
リトル・ブッダ Little Buddha (1993年)
魅せられて Stealing Beauty (1996年)
シャンドライの恋 Besieged (1999年)
10ミニッツ・オールダー イデアの森 Ten Minutes Older: The Cello (2002年)
ドリーマーズ The Dreamers (2003年)★★