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<span itemprop="headline">「ゼロの焦点」リメイク(今秋公開):清張生誕100周年記念</span>

松本清張生誕100周年記念映画「ゼロの焦点」(犬童一心監督)が、09年秋に公開される。

原作は、昭和30年代前半の北陸を舞台に、時代の波に翻弄(ほんろう)される3人の女性の生き様に
焦点を当てた清張の傑作。これは今から、楽しみだ。

この映画に出演する女優は、広末涼子中谷美紀、木村多恵と今が旬の女優で、豪華そのもの。

オリジナルの映画「ゼロの焦点」は「サスペンス映画の巨匠」として知られた故・野村芳太郎監督が
1961年に松竹映画でメガホンをとった。

舞台は敗戦から10年が過ぎ、高度経済成長へと突き進む昭和30年代の日本。
米国の占領統治下にあり、在日米軍を相手にした売春婦「パンパン」がいたという時代背景が重要なポイントになる。







断崖絶壁のロケ風景

主演の広末涼子は、新婚まもなく夫が行方不明になった女・禎子役。夫の失踪(しっそう)の謎を探るため、金沢へ向かい、真相を追求していく。

役どころに「背負うものが多い作品なので、プレッシャーはあるが、やりがいも感じている。
清張作品の重厚さ、モノクロの中にある陰影がすごく印象的。そこをイメージしていきたい」。

日本海の荒波、厚く重い雲、断がい絶壁といった冬の北陸が舞台となる。
「立ち姿。特に断がい絶壁に立つ姿から受ける「悲壮感」そして「強さ」。
そういったものを踏まえて演じたい」と広末。

映画「おくりびと」が、アカデミー賞外国語映画賞を受賞。その演技は国内外で注目を集めた。

中谷美紀は、金沢の社長夫人の佐知子役。物語の重要な鍵を握る女性を演じる。
映画「嫌われ松子の一生」では報知映画賞主演女優賞、日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞。
主演映画「しあわせのかおり」の仏公開も決まるなど、その実力は高く評価されている。

中谷は「時代に翻弄された女性の情念を演じることを、楽しみたいと思います」と難役にも意欲。

木村多江は、佐知子の夫が経営する会社の受付嬢・久子役を演じる。

「ぐるりのこと。」でブルーリボン賞主演女優賞受賞など活躍が続く。木村は「人に翻弄されながらも、その運命を受け入れていく今までにない役。清張(作品)の世界観を大切に、ひたむきに演じていきたい」。

このほか、禎子の夫・憲一役を西島秀俊、憲一の兄・宗太郎役を杉本哲太、佐知子の夫で
会社社長・儀作役を鹿賀丈史が務める。

出演俳優の比較。( )内は1961年版の出演者

鵜原禎子:広末涼子久我美子
室田佐知子:中谷美紀(高千穂ひづる)
田沼久子:木村多江有馬稲子
鵜原憲一:西島秀俊南原宏治
鵜原宗太郎:杉本哲太西村晃
室田儀作:加賀丈史(加藤嘉

当時の女優は、大女優ばかり。現代の女優もかなり迫っている。

1961年版「ゼロの焦点」はTV放映で2回ほど見たことがあるが、30数年前で、北陸の断崖、
列車などは覚えているが、すべての風景が寒々しく、暗い映画だったという印象が強い。




1961年のオリジナル映画

1961年版ストーリー:

金沢で広告会社に勤務する男の死体が発見された。彼の死に疑問を感じた妻(久我)は、
単身調査のために乗り込む。事件が明るみになるにつれて、男女の愛憎、それゆえの女の悲劇が生まれる。

久我美子をはじめ高千穂ひずる、有馬稲子といった3人の女優たちの名演が見事にそれを見事に体現。

ラスト、寒風吹きすさぶ能登金剛の断崖シーンは、いつまでも哀しみの叙情とその余韻を残してくれる。

現在と過去が巧みに交錯する秀逸な脚色を担当したのは「張込み」の橋本忍と、当時野村監督の助監督だった山田洋次。両者は後に、野村監督による清張ミステリー映画の大傑作「砂の器」の脚色も手がけることになる。

ウーーン、期待は高まる。