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<span itemprop="headline">「ゼロの焦点」再映画化:松本清張・生誕100年(2009年秋公開)</span>


来年(2009年)、松本清張の生誕100年を記念して、清張の傑作小説のひとつ、「ゼロの焦点」が、実に48年ぶりに、再映画化されることになりました。1961年の映画化では、あの「砂の器」の野村芳太郎監督、主演・久我美子で映画化、ヒットしたようです。TVでは見ました。




松本清張の作品は、およそ1,000篇にも及ぶが、「ゼロの焦点」は、「点と線」(個人的には、これが原作では一番のお気に入り。映画は「砂の器」がベストです。笑)と並ぶベストセラー。




ゼロの焦点」は、北陸を舞台に、失踪した夫の謎を追って、妻が殺人事件に巻き込まれていくという悲劇を描いていた。48年前は、主要な3人の女性は、久我美子のほか、有馬稲子、高千穂ひづるという当時の人気女優が演じていたが、新作では、現在キャスティングの最終段階にあると言う。誰がなるのか・・・気になるところです(笑)。

ところで、清張の作品の映画化は、1957年の「顔」が初めてで、その後、1984年の「彩り河」まで、35本あります(一覧表)。原作モノの映画化では、邦画市場で最大だということです。撮影は、来年2月上旬から。来年中には、新しい「ゼロの焦点」が見られそうですね。

1984、5年の頃、ドイツで松本清張の講演会を聞いたことがあります。JAL日本航空)の主催で、海外に住む日本人向けのイベントの一環でした。場所は、デュッセルドルフのホテル・ニッコー。そのときの話で印象に残っているのは、清張がイタリアを旅したときのこと。あるホテルで、ロビーから中庭を眺めていると、一人の女性が物憂げな表情で小さな池のようなところに白い粉のようなものを撒き散らしていた(記憶は定かではないですが)と言うのです。それが何かはわからない(恋人の遺灰か?)が、その人のドラマを推理する・・・といった内容でした。なにげないことにも、推理すると想像が膨らんでくるという・・・どこにいても、違いますね、大作家は(笑)。

それと、清張の推理小説の原点と言う話をしていましたが、推理小説でほとんどの場合、殺人事件が起こるが、「すべての事件には必ず ”動機“がある」と言うのが、強く印象に残っています。小説は、動機を追及していく、というのが柱のようです。

2009年は、「清張記念イヤー」ということで、映画だけでなく、舞台では、あの「黒皮の手帖」が米倉涼子(TVの当たり役)主演で、明治座で上映されます(これは、ぜひ見たい)。そのほか、テレビでは、田村正和(御年65歳、若い!)主演で「疑惑」も製作されるようです。同じくテレビで、役所広司主演の「駅路(えきろ)」の製作も決定しています。

来年は、松本清張に 目が離せない一年になりそうです。原作は一時、凝っていて(いまでいう、ハマッテいて、ほとんど読みました。笑) 推理作家で、読破したのは、清張と森村誠一(「人間の証明」ほか)の全作品くらいですが。

映画監督では、野村芳太郎監督の作品(「ゼロの焦点」「影の車」「砂の器」「鬼畜」
わるいやつら」「疑惑」「迷走地図」)がとりわけ印象に残ります。

松本清張映画作品
「顔」(1957)
「張込み」(1958)☆☆☆
「目の壁」(1958)
「共犯者」(1958)
影なき声」(1958)
「点と線」(1958)☆☆☆☆
「かげろう絵図」(1959)
「危険な女」(1959)
「黒い画集 あるサラリーマンの証言」(1960)☆☆☆
「波の塔」(1960)☆☆☆
「黒い樹海」(1960)
ゼロの焦点」(1961)☆☆☆☆
「黒い画集 ある遭難」(1961)
「黄色い風土」(1961)
「黒い画集 寒流」(1961)
「考える葉」(1962)
「無宿人別帳」(1963)
「風の視線」(1963)
「果実のない森」(1965)
「霧の旗」(1965)
けものみち」(1965)
「愛のきずな」(1969)
影の車」(1970)☆☆☆
「内海の輪」(1971)☆☆☆
「黒の本流」(1972)
砂の器」(1974)☆☆☆☆
「告訴せず」(1975)★★
球形の荒野」(1975)★★
「霧の旗」(1977)★★
「鬼畜」(1978)☆☆☆
わるいやつら」(1980)☆☆☆
「疑惑」(1982)☆☆☆
天城越え」(1983)☆☆☆
「迷走地図」(1983)★★
彩り河」(1984

2008年は、黒澤明監督のリメイク(映画では「椿三十郎」「隠し砦の三悪人」、TVでは
「天国と地獄」)が流行りましたが、2009年は、松本清張が再び注目されそうです。