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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「Always 続・三丁目の夕日」(2007)

小雪のせりふ。
「こんな小説を書かれたら、戻ってこないわけにはいかないでしょう!」
おそらく、これが一つのキーではなかったかなと・・・。
邦画では、2005年の「Always三丁目の夕日」、2006年の「フラガール」、2007年の「キサラギ」というのが、個人的には、いかにもミーハーですが、最もお気に入りの作品でした。
「Always 三丁目の夕日」のあとまもなく「続・三丁目の夕日」の製作が発表されましたね。
「二匹目の」なんとか狙いかなと、やや「?」の気持ちでしたが、予告編やら、批評・感想を見ていると、新たな感動があるらしい・・・ということで見てきました(金曜日、夜7時、有楽町)。
 
オープニングは、怪獣映画でした。ゴジラが東京タワーをへし折り、「鈴木オート」もつぶしてしまう大暴れ。あれ、劇場を間違ったかな、と一瞬思いました(笑)。
特撮、CGとはいえ、街並みの市電、車、飛行機、こだま、昭和33~34年の時代をよく再現しています。
第1作目で、この映画の監督がまだ生まれていない時代を撮っているということで、時代考証を本当にしているのかなと、少し苦言を呈したりしました。
昭和33年に、少年たちを熱狂させたのは、街頭や近所の駄菓子屋でのプロレス中継だけではないでしょう、と。
正義のヒーロー「月光仮面」が完全に抜けていたからです。昭和33年は「月光仮面」が最大の話題であったのに・・・。
フラフープは、若干紹介されていましたが。
今回はどうかなと思ったら、随所に、短い言葉やエピソードで、時代をにおわせる事柄に出会いました。
小雪が舞台裏の化粧室で、同僚の踊り子から、冷やかされているときに、お局さん風の先輩の踊り子が「美智子さんじゃああるまいし」と一言。
美智子さんとは、正田美智子さん(皇后陛下)で、暦が変わって、昭和34年。その結婚を控えて、皇太子妃となる年ということで、ミッチー・ブームがそろそろだったのかなあと思いました。
「おお、やっと出たな!」と思ったのは、映画の本編は終了して、8ミリでの撮影の風景。駄菓子屋をやっている茶川(吉岡)が、子供たちと「ベーゴマ」で遊ぶ風景!
この「ベーゴマ」と「メンチ(地方によってはメンコ)」の二つが男の子供の二大遊びであったのです。
ベーゴマでは、茶川が勝ち、相手のベーゴマを取り上げ、それを店で売り出すというエピソード(「ベーゴマを入荷しました」の紙切れを店に貼るのには、にんまりしましたね)。

ベーゴマというのは、銅の駒に、太目のひもを裏側に蚊取り線香のように巻きつけて、
それを、きれをバケツか何かに張り詰めた上で、駒を廻しながら、相手の駒に接触して
弾き飛ばしたら勝ちというゲーム。
あの「セーラー服の機関銃」の、あの「野性の証明」の、あの「Wの悲劇」の15歳の少女だった薬師丸ひろ子のお母さんぶりは、板についていて、なかなか自然でよかった。

 

一番、ドキッとした場面は・・。
もちろん「君の名は」のように、橋の上で、かつての恋人と偶然再会するシーン。
相手役の上川隆也という俳優は、なかなかいい男ですね。TVバージョンの「白い巨塔」や「功名が辻」が印象に残ります。モテるんじゃないかな(爆)

 

今は、別の家庭を持っている二人が、お互いの想いはあっても、ひととき懐かしむにとどめて、もう二度と会うことはあるまいと別れをつげ、薬師丸お母さんは、家に帰ります。
そこで待っているのは、ステテコ一丁で大の字に横になっている亭主。それをみる薬師丸。(いま、会ってきた上川とは大違い・・・と一瞬苦笑い。ま、いいか・・と今の幸せを感じて、過ぎたことは忘れようと思う)

 

だんなが借りてきた8ミリを二人で見る場面。
この映画では、悪い人間が登場しない。一人いました。芥川賞の選考委員の一人と偽ってお金を騙し取ったヤツ。
子供を引き取ろうとする会社・社長。最初は、自分勝手な人間だなと思った。
しかし、よくよく考えれば・・。(茶川の生活ぶりでは、子供を育てられないだろうと考えて当然)。

 

映画のラストで、つぶやく会社社長。「お金で買えないものがある、か・・・」
秘書が「(子供の引取りをあきらめて)「いいんですか?」に「(それで)いい」と言い切った潔さは、印象に残る。
1作目、2作目を通じて、一番の印象は「掘北真希」か。東北訛り(津軽弁)で、同じ田舎から集団就職してきた仲間の一人(共に好意を寄せている)を励ますというより、一途に信じて、まともな仕事をするよう元気付ける表情、言葉がただものではない、将来の大物女優の片鱗を感じさせました。
頼もしさを感じさせる若手女優の一人かもしれません。

 

「続・三丁目の夕日」では、特に目新しさはないものの、平田満の娘が、「こんな、風呂もないような家いやだ」といいつつも、薬師丸に、亡き母を重ねあわせて、心を開いていく過程は、なかなかの見所かも。

 

見て損をしたということはないですが、1作目ほどの感動はなく、たんたんと終わったという感じでした。
最後のクレジット・タイトルなどを見ていると、映画1本を撮るのに何千人も関わっているということがわかり、「9百何十何人の」皆様のご協力を得て・・・というのや、
協力○○、xxと延々と続きますから、大変ですね。
見るほうは「面白かった」「つまらなかった」の一言ですが・・・(爆)

 

共演は、吹石一恵三浦友和など。