アルフレッド・ヒッチコックの「フレンジー」は、”ネクタイ”が小道具だった。
この映画を見ると、「ネクタイをきつく結べないな」(笑)と思ってしまう。
そのまま、だれかに引っ張られたら、窒息死してしまう。
ネクタイは、ゆとりを持って、少しゆるめに締めたいと思う。
ヒッチコックは、今度はどんな「ワナ」を仕掛けてくるのか。
映画は、ロンドンを流れるテムズ河岸で、首に縞柄のネクタイをまきつけた
全裸の女の死体が打ちあげられたことから始まる。
ネクタイ絞殺魔による連続殺人事件。妻を殺された上、自分自身が犯人と疑われた男が
警察に追われながら真犯人を探し出すというストーリー。 あれ、このストーリー、
「逃亡者」に似ている(笑)。
最初に ”事件”の結末を見せておいて、その原因をたどっていくという
サスペンスの常套でもあるのだが・・・。
同じころ、リチャード・ブラニー(ジョン・フィンチ)は、勤め先の酒場をクビになり、
友人のラスク(バリー・フォスター)のところにやってきた。それから、2年前に離婚した
ブレンダ(バーバラ・リー・ハント)の経営する結婚相談所にきて、自分の不遇を訴えるのだった。
翌日、ブレンダのオフィスにロビンソンという偽名を使ってラスクがやってきて
ブレンダを凌辱し、ネクタイで絞殺した。(真犯人を、はじめから明かして、
サスペンスになるのか・・と思うが=笑)
ラスクが帰って数分後、ブラニーが訪れたが、鍵がかかっていたため引き返そうとする姿を
ブレンダの秘書が目撃した。
そのために、彼は殺人犯として追われる身になっってしまう。ブラニーは酒場で一緒に
働いていたバブスを誘ってホテルに泊まったが、支配人に通報され危機一髪で脱出した。
その途中、戦友のポーターに会いパリ行きを持ちかけられ、翌日ビクトリア駅で
落ちあうことにした。酒場をやめたバブスは、ラスクに自分の部屋があくから自由に使えと
勧められ、彼女もラスクの手によってネクタイで絞殺されてしまうのだった・・・。
彼は、バブスの死体をジャガイモ袋につめてトラックに投げ込んだが、殺す間際に
ネクタイピンをもぎとられたことを知り、発車したトラックに飛び乗った・・・。
心配はご無用。
二転、三転の展開が待っていた・・・。
凶器となったネクタイ、犯人が身につけたイニシャルの入ったタイピンなどの小道具もいい。
ヒッチコック独特のユーモアもあり、晩年の作品となったが、それなりに楽しめた
サスペンス映画だった。