映画「ゆきゆきて、神軍」(1987)を観たときの衝撃といったらなかったですね。
まったく映画の常識を超える異色ドキュメンタリーでした。
身震いしました!(笑)
正直なところ、俳優なんていうものではなく、いったいなんという、おそろしい(笑)オッサンだろうという嫌悪感(笑)で、観ていました。別の俳優が、このように演じたとしたら、すごい演技です!
この映画では、本人ですから(笑)。
戦争で、上下関係があって、上官にいじめられた兵隊が、生きて帰ってきた場合、上官を探し出し、仕返しをしようというのは、案外現実にあることかもしれません。当時、上官だったとはいえ、戦争から戻ってからは、一般市民であり、突然、元の部下が現れてきて、凄まれたら、殺されるのではないかと、恐怖に駆られることでしょう。
主演の奥崎謙三(1920年2月1日 - 2005年6月16日)は、元日本軍兵士(独立工兵第36連隊所属、階級は上等兵)。バッテリー商、著述家、俳優、自称・神軍平等兵、自称・非国民、反天皇活動家、アナーキスト。
天皇パチンコ事件、天皇ポルノビラ事件といった過激な反天皇活動や、奥崎本人を描いたこのドキュメンタリー映画「ゆきゆきて、神軍」で知られています。
奥崎謙三(本人)が、元・日本兵の上官らの責任を追及していくというドキュメンタリー。奥崎は、演技というよりは、実際に、ニューギニア戦線で、生き残った元・日本兵で、カメラが行動を執拗に奥崎を追ったというような印象を受けました。
台本、脚本があったのかとさえ思ってしまいます。場当たり的だったかもしれません。
監督は、原一男。
奥崎は、兵庫県出身で、第二次世界大戦中、陸軍の上等兵としてニューギニアに従軍し、戦後は、神戸市内で自動車部品販売店を経営。1969年1月、皇居一般参賀中、昭和天皇に向かってパチンコ玉を発射し逮捕された。
この事件について書いた「ヤマザキ、天皇を撃て!」などの著作もある。
上官を訪問し、暴力を振るう。演技を超えた迫力。言動、行動が過激。やくざ映画以上のリアルさ。
衆院選に立候補中の1983年、上官だった元中隊長宅を訪問し、居合わせた長男に拳銃を発砲して、兵庫県警に殺人未遂容疑で逮捕され、懲役12年の判決を受けた。
出所後は1人暮らしで、近年は病気がちだったという。2005年6月、85歳で、病死している。死ぬ直前まで、病院内で「バカ野郎」と叫んでいたという。
否定的に書きましたが、映画としては、一見の価値があり、お勧めです(笑)。
予告編:http://www.youtube.com/watch?v=GW43aROrV_c