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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

<span itemprop="headline">⑨「歌謡曲だよ、人生は」(短編映画集)</span>






 
歌謡曲だよ、人生は」を初日に見た。

 昭和の名曲をタイトルにした、短編映画集である。

 期待を100とすると、70くらいだった。
 一言で言うと、限られた時間に、12話は詰めすぎ。
 幕の内弁当は、好きだが、盛りだくさん過ぎて、
 終わってみたら、「あれあれ」という感じでしたね。

 それぞれのパートが10分くらいでは、
 メッセージが伝わりにくい。
 少し辛口に言ったが、楽しめたことも事実。

 昭和30年代、40年代の歌謡曲を知っている中高年世代(40代後半~60代)にとっては、
 懐かしい曲が取り入れられて、楽しめたと思うが、歌と内容が
 マッチしていなかったところもある。無理が感じられるのだ。

 そうは言っても、やはり役者で見せてくれるパートもいくつかあった。

 「小指の思い出」は、歌詞が当時は「あなたが噛んだ、小指が痛い~」と意味深だったが、
 映画では、中年男(大杉漣=うまい!)が、この曲をハミングして始まる。
 いつものように、急いで自転車でアパートに帰ると、若い奥さん
 らしき人が待っている。ええ、初老(60歳ぐらいだろう)の男に20代そこそこの
 美人が。親子ほどの歳が離れているのだが、愛人かな、と思っていると
 実は・・・・最後には、とんでもないことだったことがわかり
 唖然とさせられた。

 「これが青春だ」は、好意を寄せている女性に、
 たった一枚の生コンサートの券を渡す。
 自分は、終わったときに、迎えにいって
 デートをしようと思う。
 会場まで行くが、ハプニングにあって
 会うことができないのだ。なぜ会えないのか、
 そのエピソードが、抱腹絶倒だ。
 物事は、うまくいかないことのほうが多い(爆)。

 「みんな夢の中」では、高橋恵子はさすが。
 小学校卒業の40年目の同窓会。50代前半の年代で、
 実年齢に近い俳優が出演していた。この辺が、うるうるか。

 40年前に、8ミリ映写機で、撮っておいたフイルムを
 卒業後、初めて見る場面は、感動ものだ。

 将来の夢を一言、大きな画用紙に書いて、
 8ミリカメラの前に一人づつ立って一言。「ソウリ大臣になる」(笑)など。
 40年後の本人が、それを感慨深げに眺める
 シーンは、いいなぁ。

 高橋恵子は、役柄の小学校6年当時、足を怪我をしていたのだろう。
 松葉杖をついていた。同級生が、背中に背負っていた。
 それを思い出す、高橋恵子の表情がいいのだ。
 この人、歳を重ねても気品があります。

 「逢いたくて逢いたくて」は、内容と歌が一番マッチしている。
 妻夫木聡が新婚で、アパートに引っ越してくる。
 新妻役(伊藤歩)が、べたべたしていなくていい。
 結婚すると女性は、しっかりものになるのでしょう。
 雰囲気がいい。

 前の住人の「五郎丸さん」という人が、
 まだ1階に引越し荷物を残していた。
 妻夫木の新婚の引越し祝いに
 駆けつけた友人たち。

 五郎丸さんの秘密を知ってしまう妻夫木・夫婦。
 駆けつけた友人たち。
 「下(階下)で五郎丸さんに会ったが、
 あいさつしたいといっているよ。今、あがってくるよ!」
 
 このあたり、部屋に上がってきてもらっては、大変
 困るのだ。このあたりサスペンスだ(笑)。

 実に、日本の平均的なおじさんをよくあらわしている。
 五郎丸さんが、なぜ引っ越していくのか、
 最後にどんでん返しが・・・このエピソードが、一番泣かせる。

 最後の東京見物とも言うべき「東京ラプソディ」。
 映画の観客も一緒に歌を歌いましょう、という
 趣向で、カラオケのように、歌詞が画面に出る。

 まあ、実際に映画館で歌っても
 不自然ではないようなつくり方だ。
 観客参加型とでも言うのか。

 で、最高に面白かったし、うなったのは「女のみち」
 なんと「女のみち」を歌って大ヒットさせた宮史郎が主演。
 
 これは、笑わせる。銭湯での場面がほとんど。
 6年間、服役してきた、刺青のおっさん。
 
 その間、毎週2回、面会に来てくれた彼女に、
 誕生日祝いとして、歌をプレゼントしたいというわけ。
 どうしても「女のみち」の2章節目が思い出せない
 というエピソードが、実に笑わせる。

 歌いだしたはいいが、(当の本人が,持ち歌を思い出せないおかしさ)
 その歌詞のところに来ると、ぱったりと思い出せない。

 どうやって、思い出すことができるのか・・・。
 お楽しみ(笑)。

 全体としては、監督が11人でそれぞれ担当したということで、
 全体を貫くテーマというのが希薄だったような気がする。

 せいぜい5つくらいのパートで、もっと掘り下げたほうが
 というのは贅沢な注文か(笑)。

 パート2ができるような可能性を残しているが、
 同じようなパターンだと、そっぽを向かれる
 可能性が高い。
 せっかくアイディアはいいのだから、もう一工夫
 ほしかった。

 感想が長すぎました。
 あらためて、考えると面白かった(爆)。