↑名作「逢びき」の一シーン
映画のタイトルバックが出た後、「結末」を最初に持ってきて、振り返っていくという映画が
結構ありますね。回想していく、というあれです。観客は、結論を先に知ってしまう。
思いつくままに、あげてもすぐに10本くらい出てきそうです。
「アラビアのロレンス」・・・最初に主人公(ロレンス)がオートバイ事故でなくなります。
スピードを出して、ハンドルを誤って、あっけない幕切れでした。ロレンスは、偉大だった、
いや凡人だ、などの意見が交わされながら、映画は、一気に過去にさかのぼり、ロレンスの
足跡を追っていくというものだった。
「逢びき」・・・シリア・ジョンソン、トレバー・ハワードが、なにやら駅で会話をしている。
そこに女性の友人(おしゃべりな女性)があらわれ、二人の間に入って、他愛にないことを
しゃべる。ラスト・シーンになって、この最初の場面に戻るが、二人にとって邪魔されたくない
別れのシーンだったことがわかる、というにくい演出だった。
「白いカラス」・・・二コール・キッドマン、アンソニー・ホプキンスが互いの過去の苦悩を
話し合った後、理解しあい、車で走っていくが、事故を起こしてしまう、という結末で
始まり、そこにいたるまでのいきさつが描かれる。
・・・
これとは逆に、現実の時間の経過に沿って進んでいく映画もある。
「真昼の決闘」・・・原題がハイヌーン(真昼)。その日の、12時の決闘の時間まで、
あと何分、と駅の時計を映しながら、進行していき、リアル感を盛り上げた。
「栄光のル・マン」・・・レースが始まる直前は、現実の時間と完全に一致させて、
観客にどきどき感を与えていた。
「12人の怒れる男」・・・この映画も、流れを編集(撮影フイルムの順番の差し替えなど)
せずに時間軸で進行していた。
また、フラッシュバックで、過去にさかのぼったり、現在に戻ったりとミックスしたのもある。
編集というのも、映画のよしあしの決め手に大きく影響することは間違いない。