「華麗なる一族」も後半に入って、盛り上がりを見せ、最終回が終了した。
控えめで目立たなかった配役に見せ場が一気に訪れた。
長男の鉄平(木村拓哉)の猟銃自殺のあと、その血液型から、大介(北大路欣也)の息子である
ことが判明。あまりにも運命の皮肉に叩きのめされる残された家族。
母親(原田美枝子)の棺に取りすがっての泣き崩れる演技。
父親・大介(北大路)の苦悩に満ちた慟哭。
大が小を食う銀行の合併に、悠然と記者会見に臨んだ大介だったが、裏では、さらにその
新銀行を飲み込む計画が進められていたとは・・・!
すべてを画策していたのは時の大蔵大臣(津川雅彦)で、手先として動いてきた
大蔵省のエリート官僚(仲村トオル)に、次の銀行局長含みの内示を与えて、
次なる合併へと、着々と駒をすすめるというストーリー・・・。
大介の新銀行披露パーティに参加した仲村のにんまりといった笑いを抑えた演技が効いてくる!
この役は、映画版では、あの田宮二郎が演じていたので、ニヒルで、策略に長けて、ぴったりだった。
現実のモデルとなったのは、太陽銀行と神戸銀行の合併。太陽神戸銀行のあと、三井に吸収され
三井太陽神戸銀行となり、完全に三井主導の「さくら銀行」が誕生し、さらに住友銀行との
合併で「三井住友銀行」と変貌していくのは、ご存知の通り。
今回のドラマは、木村拓哉の、拓哉による、拓哉のためのドラマであったようだ。
原作の山崎豊子も、木村に期待していたが、「最初はハラハラしたが、次第に引き込まれる
演技で、よくがんばった」といっていたが、ドラマのおかげで、新たに180万部もの
原作が改めて読まれたというから、またまた印税がたっぷり入る、山崎豊子さんです。
運命の皮肉、華麗なる一族の悲劇であったわけですが、鉄平の目指した「溶鉱炉」が赤々と
燃え続けている・・・といったエンディングは、まずます。
音楽も、よかったです。