印象的なドミニク・サンダの美しさ!
1970年代④「悲しみの青春」
このタイトルを聞くたびに、主演女優のドミニク・サンダ(撮影時、20歳)のなんという
気品のある美しさ(=写真)だったか、思い起こします。
イタリア映画で、ソフィア・ローレン、C.C.(クラウディア・カルディナーレ)といった、
グラマー女優が全盛のころ、知的で、もの悲しげな表情の新人女優の出現はインパクトがありました。
監督は、イタリアの巨匠、ビットリオ・デ・シーカ(「ひまわり」「昨日・今日・明日」
「自転車泥棒」)。ドミニク・サンダは当時としては、キャンディス・バーゲン(「・・・You・・・」「さらば荒野」「愛の狩人」ほか)の美しさ、知性と双璧でした。
(内容)
北イタリア・エミリア地方のフェルラーラが舞台。中世の城壁に囲まれた美しい街。
その町の外れに孤立するかのように高い塀をめぐらせたフィンツィ・コンティーニ家の
広大な屋敷があった(豪華絢爛!)。
夏の終りの昼下がり、手にラケットを持った若い男女の一群が、コンティーニ家の大門を
くぐった。コンティーニ家の娘ミコル(ドミニク・サンダ)に招かれた彼らの中にジョルジョ
(L・カポリッキオ)もいた。親しみをこめて迎えてくれたミコルとの幼い頃の思い出が、
ジョルジョの胸にひろがった。
町の人々とは隔絶したコンティーニ家、ミコルも弟のアルベルト(ヘルムート・バーガー=演技圧巻)
も町の学校にさえ通わず年に何度かの試験のときだけ、ジョルジョはミコルの可憐な容姿を胸を
焦がす想いで、まぶしく見つめていたのだ。最初の出会いはユダヤ教会だった。見交わす
二人の瞳には、単にユダヤ人同士の了解というより、ひそやかな初恋の想いが、こめられていた。
ミコルの弟アルベルトは、病弱で繊細な神経を持ち、門から一歩も外へ出ようとは
しなかったが、ただ一人ミラノ大学の先輩のマルナーテ(F・テスティ)が心の許せる親友であった。
しかし、時代は、しだいにナチズムの影が・・・ジョルジョも日ごと、身に迫る危険を
感じるようになっていった。逃げるようにベネチアに旅立ったミコルと再会したのは、
過越祭の夜だった。一面雪景色の、コンティーニ家の庭を駆け抜けたジョルジョは思わず、
ミコルを抱きしめ、接吻したのだった・・・・
第二次大戦に突入した今、イタリアも参戦。ユダヤ人狩りが始まった。ミコルも捕われ、
拘留所の一室でジョルジョの父(R・バッリ)と会った。ミコルたちの行くてには、ナチの
収容所が、そしてガス室が待っていたのだ。光にあふれたコンティーニ家の庭。白いテニス
服のミコル、アルベルト、マルナーテ、そしてジョルジョ。彼らの青春はこうして終焉を告げた。
ユダヤ人富豪の豪華な家も目を見張るが、ヘルムート・バーガーの特異・繊細な演技、
D・サンダの美貌にノックダウンでした(笑)。
1971年イタリア作品
監督: ヴィットリオ・デ・シーカ
脚本: ヴィットリオ・ボニチェリ
ウーゴ・ピロ
撮影: エンニオ・グァルニエリ
音楽: マヌエル・デ・シーカ
出演: ドミニク・サンダ
リノ・カポリッチオ
ヘルムート・バーガー
ファビオ・テスティ