「ターミネーター ニュー・フェイト」(原題:Terminator: Dark Fate、2019)を見た。ジェームズ・キャメロンが生み出したSFアクション「ターミネーター」のシリーズ通算6作目。ストーリーとしては「ターミネーター2」の正当な続編として描かれる。原題は「暗黒の運命」だが邦題は「新たな運命」としている。
キャメロンがプロデューサーとなり「ターミネーター2」以来にシリーズの製作へ復帰。「デッドプール」を大ヒットさせたティム・ミラー監督が新たにメガホンをとった。リンダ・ハミルトン演じるサラ・コナーが28年ぶりにカムバック。シリーズの顔であるT-800を演じるアーノルド・シュワルツェネッガーも出演。グレース役に「ブレードランナー 2049」のマッケンジー・デイビス、ダニー役にコロンビア出身の新鋭女優ナタリア・レイエス。
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人類滅亡の日である「審判の日」は回避されたが、まだ危機は去っていなかった。メキシコシティで父と弟とごく普通の生活を送っていた21歳の女性ダニー(ナタリア・レイエス)のもとに、未来から最新型ターミネーター「REV-9」が現れ、彼女の命を狙う。一方、同じく未来からやってきたという女性戦士グレース(マッケンジー・デイビス)が、ダニーを守るためにREV-9と壮絶な戦いを繰り広げる。
何度倒しても立ち上がってくるREV-9にダニーとグレースは追いつめられるが、そこへ、かつて人類を滅亡の未来から救ったサラ・コナー(リンダ・ハミルトン)が現れる。
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「ターミネーター2」は、封切りの時に川崎にできたばかりのチネチッタ(それ以前のミスタウンには何度も通った)で見た。この映画はバイクやトラックの疾走など面白かった。シリーズを見た最初が「2」で、しばらくして「1」を見た。その後の「3」「4」「ジェネシス」の3本は未見(凡作との評価で。笑)。
今回の「ニュー・フェイト」は、直前の3作は「なかったことに」という映画だったようだ。いきなりステーキ、いきなり「2」からの続編とのこと。すっかり「2」の内容は忘れているが、主役だったターミネーター「T-100」のアーノルド・シュワルツェネッガーが、完全に脇役となっていた。しかも、善人となって、妻アリシアと息子マテオのいる、普通の人間であり好々爺といった雰囲気だった。ただし、ターミネーターであることに変わりはなく、最後には腕がもぎ取られる。
「ニューフェイト」は、サラ・コナー役でお馴染みリンダ・ハミルトンの視点で描いている。映画の前半で、新たな救世主のダニーを助けたサラが、シリーズの名セリフ「I’ll Be Back」と言い放って立ち去るシーンが印象的。サラは、殺された息子ジョンの復讐のために、20年後の2020年からやってきたという設定。グレースはさらに未来の2042年からやってきて、二人ともダニーを守るというのが共通の目的。
T-100シュワルツェネッガーは、あらゆる種類の銃器を所有しているが、これを見たダニーが驚くと「ここはテキサスだ」というのもジョークとして面白い(現在のテキサス州では銃による事件が多いらしい)。T-100がサングラスを手にすると、あのテーマ曲が流れるが、サングラスをかけなかった。
未来の世界では、新たに脅威となっているのが、人工知能(AI)の「リージョン」と呼ばれるもので、その反乱による大戦争によって数十億人の人類が犠牲になったという衝撃の事実などが語られる。ラストの30分は爆発など怒涛のアクションシーンが描かれ、ターミネーター同士の争いはグロくてキモい。
女性3人がヒーローという点では、新鮮味はある。シワも目立つリンダ・ハミルトン(当時63歳)だが、ヘレン・ミレンやシャーロット・ランプリングと同様、年輪をにじませる味わいがある。