「決算!忠臣蔵」(2019)を見た。MOVIXさいたま(8:50~)にて。
大石内蔵助が残した決算書を元に、赤穂浪士の吉良邸討ち入りをお金の面から描いた山本博文の『「忠臣蔵」の決算書』を映画化。
元禄14年、お家再興の望みを絶たれた赤穂藩筆頭家老・大石内蔵助の吉良邸討ち入り計画を予算面から描いた「涙と笑いの予算達成エンタテイメント」(宣伝文句)。吉本興業が制作協力をしていることから吉本の芸人が多数出演している。名前の通った出演者が多すぎて細切れの展開で物語がやや散漫になった印象。気楽に見られるのがいい。”戦さ”のシーンはない。
出演は、堤真一、岡村隆史のほか、妻夫木聡、濱田岳、阿部サダヲ、滝藤賢一、笹野高史、石原さとみ、竹内結子、西村まさ彦、板尾創路、桂文珍など。監督は「殿、利息でござる!」「忍びの国」の中村義洋。
大石内蔵助の人物像が面白い。実は、女癖が悪く、芸者遊びのほか、妾が4人。正妻が子供の4人目を身ごもると、子供たちとともに妻を郷里に帰して、挙句に離縁を言い渡す。しかも浪費家。会社で言えばどんぶり勘定の放漫経営者。
一方、内蔵助に仕える勘定方(経理担当)の矢頭長助は、堅実派。「先々のために残しておくべき」が信条だが、内蔵助は「先々って、何なん?」と理解できない。元禄時代の赤穂浪士の討ち入り前の財政状態の厳しさを現在の金額に換算して見せるところが現実味があって面白い。基準となるのが、うどん一杯の値段。この当時うどんが16文(もん)。現在のうどん1杯の値段が480円ということで、1文=30円という設定。
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元禄14(1701)年3月14日。江戸城・松の廊下。清廉潔白な赤穂藩藩主・浅野内匠頭(あさのたくみのかみ)長矩(ながのり)(阿部サダヲ)は、賄賂まみれの吉良上野介(きらこうずのすけ)の態度に腹を据えかね、斬りかかる。通常なら喧嘩両成敗となるはずが、幕府が下した結論は、浅野家のお取り潰し(領地没収)と内匠頭の即日切腹。
突然、藩主を亡くし、お家断絶となった赤穂藩士たちは路頭に迷うことになる。これは江戸時代の優良企業倒産事件。現代に置き換えると、藩は会社、武士はサラリーマンということになる。
筆頭家老・大石内蔵助(堤真一)は嘆く間もなく、勘定方・矢頭長助(岡村隆史)の力を借り、ひたすらリストラに励む日々。その努力や幕府への取次も虚しく、お家再興の夢は断たれてしまう。それでも一向に討ち入る様子のない内蔵助。
しかし、江戸の庶民は、赤穂浪士による吉良上野介への仇討を熱望。いつの時代も物事を動かすのは、なんとなくの空気感。しかし、そこで発覚した重大な事実。実は討ち入りするにも予算が必要だった。その上限は9500万。討ち入るのか、討ち入らないのか、迷っているうちに予算はどんどん減っていく。はたして、大石内蔵助は・・・? 予算内で、一大プロジェクト“仇討”を無事に決算することができるのか……!?
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藩(=会社)の赤穂藩士の面々は、吉良上野介への仇討を心待ちにしているが、財政は厳しい状況。浅野内匠頭の妻・瑤泉院(ようぜんいん)(石原さとみ)の財産の使用を任されていたのが大石内蔵助。内蔵助は、お金の使い道は、どんぶり勘定。言ってみれば藩士たちの領収書には盲判を押すといったようなもの。
これまで「賄賂」や遊興費など湯水のごとく浪費してきたツケが回ってきたものだが、数千万円あったお金は、どんどん減っていく。割賦金(=退職金)や、江戸までの旅費が一人片道36万円もかかるのだ。
内蔵助の妻・りく(竹内結子)が、内蔵助の妾3人分の手切れ金も1人180万円x3かと思いきや、4人目もいたことが発覚するなどてんやわんや。藩士の中には、安くて狭い住居に引っ越すものもいた。
時代劇の定番中の定番「赤穂浪士の討ち入り」をコメディタッチで描いている。西村まさ彦などが見せ場を見せている。
■キャスト
大石るり:森本くるみ
早川惣介:上島竜兵
長次:堀部圭亮
河村伝兵衛:波岡一喜
井上団右衛門:山口良一
祐海和尚:桂文珍
前田屋茂兵衛:村上ショージ